患者様インタビュー
Vol.1親子で向き合う装具治療|お母様のインタビュー 第1回(全3回)2018.07
ある日突然、何の知識も、治療の方法もわからない状態で「側弯症かもしれない」と言われたら、誰もが不安になることでしょう。特に成長期の多感な時期に発症しやすい疾患だけに、保護者の方は特に一体どのように向き合うべきなのか心配なことと思います。しかし、側弯症では、正しい知識を持ち適切に治療することが最も重要です。
そこで今回は、小学5年生の時に側弯症と診断されたお子さんを持つお母様に話を聞きました。3回にわたって、実際に母娘が側弯症とどのように向き合ってきたのか、流れを追って紹介していきます。
第1回目のインタビューでは、小学5年生のお子さんが「側弯症」と診断されるまでの流れをお聞きしました。学校の検査で「要再検査」の通知を受け取るまで、側弯症については、ほとんど何も知らなかったというお母さん。病院の専門医にかかるまでの経緯と、初診時の率直な気持ちを語っていただきました。
「側弯症」と診断されて
── 娘さんに「側弯症の疑いがある」とわかったのは何歳の時ですか?
お母様:小学5年生の時です。学校の健診でモアレ検査を受けて、『要再検査』という通知を受け取りました。その再検査の結果『これは医療機関を受診して、ちゃんと診てもらったほうがいい』ということになったんです。でも、私自身、側弯症という病気について何の知識もなかったですし、そもそも何科の先生に診てもらうべきなのかもわからなかったんですよね。
── ご自身でいろいろ調べたりもしましたか?
お母様:はい。インターネットで調べてみたんですが、有益な情報もありましたが、中にはとても怖くなってしまうようなことも書かれていて──。症状が進行して背骨が曲がり続けていくと臓器が出てしまうとか、心配で胸が苦しくなってしまうような情報ばかりが目についてしまって。このまま一人で悩んでいてはダメだと思い、小学校の養護教諭の先生に相談しにいきました。放課後の、生徒さんがいない時間に話をしに行って、どういう医療機関を受診したらよいかと。その先生がその場で病院に連絡をしてくださって、その後はスムーズに受診することができました。
── 側弯症は、そもそも自覚症状が見つけづらいのが特徴ですが、娘さんの場合も何の兆候もなかったですか?
お母様:はい。まったく何もおかしなところはなかったです。年齢的に、もう一緒にお風呂に入ることもなかったですし、ふだんの生活で気づくことは何もなかったですね。なので、『側弯症の疑いがある』と言われて、一体どうしてそうなってしまったのかとか、なぜもっと早く気付いてあげられなかったのかとか、あれこれひとりで考えてしまいました。でも、病院を受診した時に、『姿勢が悪いとか、過去の生活習慣は関係ないんですよ』と先生が言ってくれて、少し安心しました。
── 病院の初診でレントゲン撮影をして、その結果はどうでしたか?
お母様:小学5年生時の2月に初診を受けて、そこで『側弯症』と診断されました。その時のレントゲン撮影の結果、側弯度(コブ角)は23度ということでした。装具(コルセット)治療に入るのを検討するのは25度を超えてからということでしたので、初診時はまず『経過を観察していきましょう』ということで。
── でもまさに成長期に入るということで、これから側弯症が進行していくかもしれないという不安もあったのでは?
お母様:そうですね。でも、そこから定期的に病院に通って経過観察をしていく中で、不安や疑問に思うことは何でも先生に聞くようにしました。やはり日々の生活の中で『これはどうしたらいい?』『こんなことはやっちゃいけない?』ということがいろいろ出てくるので、どんな些細なことでも先生に質問して、それがその都度解消されるようになったのは、本当によかったです。側弯症になってしまったことはショックだけれど、病院にかかる前より気持ち的にはポジティブになれました。
── 例えばどういうことを医師に質問しましたか?
お母様: 娘はずっと陸上部で活動していたんですが、側弯症を発症したことによって運動はできなくなってしまうのか? とか。体を動かすことが大好きな子なので、走れなくなったりすることが一番のダメージだと思ったんですよね。でも、学校の体育の授業はもちろん、部活も普通に続けていいということで、それが精神的に大きな救いになりました。生活面でもいろいろ制限が出てくるのかなと思っていたのですが、何も変わることなく生活できるし、娘もそれですごく安心していました。
第1回は終了です。次回の第2回の内容は「治療について」です。