- Q1:側弯症とはどのような病気ですか?
- 脊柱が側方へ曲がり、そのうえ、ねじれも加わる病気です。一時的な曲がりのものも少なくはありませんが、曲がりの角度が20度以上になると注意が必要です。
- Q2:側弯症は感染しますか?
- 感染しません。
- Q3:側弯症はどんな原因で起きるのでしょうか?
- 原因のわかっているものと、わかっていないものがあります。
現在のところ、およそ次のように分類されています。
- 機能性側弯(一時的なもの)
不良姿勢、脚の長さに差があるためのもの、坐骨神経痛による側弯など
- 構築性側弯症(真の病気としての側弯症)
- 先天性側弯症
- 神経・筋性側弯症
- 神経線維腫症による側弯症
- 間葉系疾患による側弯症
- 外傷性側弯症
- その他の原因による側弯症
- 特発性側弯症
乳児期側弯症(0歳~3歳に発症)
学童期側弯症(4歳~10歳に発症)
思春期側弯症(10歳以降に発症)
このうち80%~90%は、現在でも原因不明であることから、特発性側弯症と呼ばれているものです。
- Q4:好発年齢は何歳くらいですか?
- 特発性側弯症では、思春期側弯症が最も多く、小学校高学年から中学校時代に発症することが多いと考えてください。
- Q5:神経系に異常を認めることがありますか?
- 神経系に異常のある側弯症と、異常のない側弯症があります。
以前には特発性側弯症と診断されていた患者さんのなかに、脊髄空洞症を有する人が混じっていることが、MRIという検査法の発達により分かってきました。
このような原因による側弯症は、正しくは、神経・筋性側弯症に分類されます。
- Q6:特発性側弯症は女性に多い疾患ですか?
- 女子の患者数が男子の5倍~7倍とされています。
- Q7:側弯症にならないように予防する方法がありますか?
- 予防する方法はまだわかっていません。
したがって早期発見が重要になります。
このために側弯症検診が行われています。
- Q8:側弯症が自然治癒することがありますか?
- 真の側弯症であれば、自然治癒することはありません。しかし、特発性側弯症のうち、乳児期に発症する側弯症だけは自然治癒することがあるとされています。
- Q9:かばんの重さや持ち方が側弯症の発生に関係ありますか?
- 最近は一般に、かばんが重く、その持ち方によって側弯を発生させるのでは、と心配されるのですが、専門的立場からは関係がないといえます。
- Q10:姿勢に気をつければ側弯症の進行を防いだり、治したりすることができますか?
- 一般的に姿勢に気をつけることは大切ですが、姿勢を正すことでは真の側弯症の進行を防ぐことはできません。
- Q11:カルシウムを充分に摂取すれば側弯症の発生を防止できますか?
- カルシウムを充分にとることは、骨の成長や、将来おきる可能性がある骨粗鬆症の予防のためには大切です。
しかし、側弯症の発生は防止できません。
- Q12:身体の成長が終ったあとも側弯は進行しますか?
- 特殊な原因による側弯症(神経線維腫症、神経・筋性側弯症など)を除けば、一般に、成長が終了すれば側弯は進行しません。
しかし、高度の弯曲を有するものでは、成長終了後も少しずつ進行するとされています。
- Q13:側弯症が放置され高度になると身体にどのような影響がでますか?
- 高度の側弯では胸郭が著しく変形し、そのために肺の機能が低下します。
その結果、肺や心臓に重大な合併症をひきおこすことにもなります。
- Q14:側弯症は遺伝しますか?
- はっきりとした遺伝様式はありません。
しかし、現在では多くの疾患に遺伝子の異常が関与していることが分かってきています。
側弯症においても、今後、遺伝子の異常が発見される可能性はあります。
- Q15:側弯症を早期に発見するためにはどんな方法がありますか?
- 次の4つの検査項目があります。
- 前屈検査における、肋骨隆起、腰部隆起の有無を調べる。
- 左右の脇線の曲線が非対称になっていないか調べる。
- 左右の肩の高さが違っていないか調べる。
- 左右の肩甲骨の高さ、位置が違っていないか調べる。
このうち前屈試験がもっとも信頼性の高い方法です。
しかし、前屈試験で異常があるからといって、側弯症であるとは言えません。
その信頼性は80%といわれています。
正確な診断のためにはレントゲン撮影が必要です。
- Q16:特発性側弯症は運動療法だけで治りますか?
- シュロス法などの側弯症に特化した運動療法(physiotherapeutic scoliosis-specific exercises: PSSE)については各国で科学的なデータの集積が行われていますが、その効果は未だ十分に検証されておらず、さらなるデータの蓄積が必要です。運動療法を行っている場合でも、側弯症の評価や治療法を考える上で専門医による定期的な診察は必須です。
ご不明な点や不安な点がありましたら、専門医にご相談ください。医療機関一覧はこちら。
- Q17:側弯症は放置すれば必ず高度になりますか?
- 必ずしもそうとは言えません。
側弯の進行には個人差のあることが分かっています。
一般に、低年齢や骨成熟が未熟な段階で発見された側弯、発見された当初から高度な側弯は、その後も、進行しやすいとされています。
- Q18:治療法にはどのようなものがありますか?
- 軽度側弯(30°未満)の場合には定期的に経過を観察して、進行を見逃さないようにします。
中等度側弯(30°-50°)の場合には、アンダーアームブレースなどの装具による矯正治療が行なわれます。
高度側弯(50°以上、胸腰椎側弯・腰椎側弯の場合は40°以上)の場合には、手術療法が必要になります。
- Q19:装具療法はいつまですればよいのでしょうか?
- 一般的にいうと骨成長が終了するまでですが、骨成長の終了を判定することは、なかなか困難です。
レントゲン写真や血液所見、身長の伸びなどを参考にしながら、装具をはずす時間を少しずつ延ばしていくのが一般的です。
- Q20:側弯症の手術には輸血が必要ですか?
- 輸血が必要である場合も少なくありませんが、現在では自己血輸血という方法が確立しており、他人の血液を輸血することなく手術を行なうことが、ほとんどの場合で可能になっています。
- Q21:側弯症と診断されて経過観察を受けている子供や、学校・家庭で注意するようにといわれた子供には、日常どのような指導をすればよいのでしょうか?
- 側弯症のすべてが、高度の変形に進行するわけではありません。
むしろ、多くの側弯は軽度のままで、成長の終了を迎えます。
軽度の側弯症は、将来的に何の障害も残しません。
したがって、軽い側弯を心配しすぎることはありません。
子供に病気だという意識をもたせることなく、のびのびとした生活をさせながら経過を見ていけばよいのです。